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ペットロス・クライシス
ペットが家出をしたり死んだり後に、飼い主が悲嘆反応をおこして、心や体の不調も訴える人が多くなった。これをペットロス・クライシスと言う
大家族制度が崩れて、核家族になり、さらに子どもが育ったのちは高齢者夫婦だけの生活になるとか、離婚や晩婚が増えて独身生活者が増加する、などの社会的変化によって、ペットに慰めを求める人が少なくない。ペットがいなくなった後で、悲しみ、喪失感を抱き、もっと早く獣医に見せれば死なずに済んだのではないかと自分を責めたりする。なぜ、私のペットに限ってこんなに短命なの、と神様を恨んだり、怒ったりする。食欲を失い、何もする気がなくなって、ぼう然と日を送る人もいる。これは、喪失の体験から受けるストレスを克服するための健全な悲嘆反応であり、一種の適応反応である。この症状は、肉親や財産などを失った時に現れる対象喪失症状の一つであるから、特別に異常な精神症状ではない。対象喪失は、引っ越し、罹災、死別、離婚などの生活重大事件によって、自分がそれまで持っていた意味のある何かが奪われる状態、またはなくなってしまう状態、心の絆を失う状態である。ペットを失った悲しみを乗り越えるのには、@存分に泣くA悲しみをこらえないBペットが亡くなった時の状況を知人などに詳しく話すC亡くなった事実を受け入れる(まだ生きているなどと思わない)D墓を作ったり、葬式をしたりして、死亡の事実を認識するE喪失したものをあきらめるF思慕の情、後悔、怒り、憎しみ、罪意識などすべての感情を排除しないであるがままに体験し尽すG似た状況の人と話し合うHペットロスに陥った人のレポートや小説を読むI軽い仕事をして気を紛らわす J閉じこもらない(外出する)K自分の精神症状が当然の反応であると考えて隠さない などの方法があるが、基本的には肉親を失った人の「喪の仕事(グリーフ・ワーク)」と呼ばれる癒しの手段と同じです。これは、喪失をあるがままに受け入れるという心の仕事であり、対象が肉親であろうと、ペットであろうと、心理的には同じ痛みなのです。