小笠原諸島
大小およそ百八十の島からなる、トロピカルなムードがいっぱいに漂う亜熱帯の島。数百年前に海底火山の活動によってできたこの小笠原諸島は、以来、大陸と地続きになったことがない、大陸から隔絶された島です。そのため、この島でしか見ることのできない固有の希少動植物が生息していて、エクアドルのガラパゴス諸島と共通する生態系をつくっている。













やぎ


小笠原諸島には、全島で約千頭から二千頭の野生ヤギがいるそうです。そのヤギたちが、島の草木を食い荒らし、オガサワラアザミやハマギキョウ、ツルワダンなどの固有植物に大きな被害を与えているそうです。

そもそも、ヤギはイラン原産といわれる家畜動物で、日本には、江戸時代に持ち込まれました。小笠原諸島では、1920年頃、

アメリカやイギリスの捕鯨船員たちが、食料の補給基地として利用していた父島列島に放牧したのが、移入の始まりとされています。また、1930年、ハワイから欧米系やポリネシア系の人たちが島に移住してきた時、食肉用としてヤギを連れ、そのヤギが「小笠原やぎの第一号」とする説もあるそうです。


小笠原の島々に放牧されたヤギは、豊富な草木をエサにして順調に繁殖していったのでしょう。小笠原諸島の野生やぎの被害が目立ち始めたのは、戦後、とりわけ島が米軍の統治下から日本に返還された1968年以降です。1997年7月16日〜18日、小笠原諸島の無人島で増えすぎたヤギの駆除に東京都が乗り出しました。東京都は数年間かけて島からヤギを完全に排除するという計画を立て2000万円もの税金が投入されました。

ヤギはもともと家畜として人間が島に持ち込み、置き去りにしたものであり、小笠原における自然破壊はヤギの責任ではなく、人間の責任です。貴重な自然はもちろん保護されるべきです。しかし、人間の身勝手な行為が引き起こした問題を今になって、罪のない動物に責任転嫁すべきではありません。命は動物も人間と同じ平等です。

かなりの時間と費用が掛かるかもしれないが、ヤギを殺すことなく人道的解決をはかるよう、有効な方法に税金が用いられるようにと願ってやまない。柔軟な思考と心の広さがもっとあってよいのではなかろうか。めえー、めえー、森の子ヤギ!かわゆ〜い


な方法