
あとがき

ペットは無言のサイコセラピスト
「スヌーピー」の漫画には、いつも毛布を手離さない男の子、ライナスが出てきます。拒食症になった女の子がいました。いわゆる「いい子」で「ノー」と言えないタイプ。食べないと、母親は「食べなさい、食べなきゃ死ぬわよ」と食べる、食べないで一喜一憂。家族中で、彼女を責め立て、さらに、しっかり者の姉が追い打ちをかけます。いやがうえにも家庭内は緊張感を増し、それがどれだけ重荷だったか。そこで勧められて、目が開いたばかりの小さな猫をもらうことにしました。自然と話題が猫に移っていったので、気が楽になり「そんなことをしちゃダメ」と猫に声をかけているうちに、大きな声がだせるようにもなりました。けれども、毎日あまりにも猫をいじくりまわしたため、今度は猫が拒食症になってしまいました。「食べなきゃ、死んでしまう」と心配のあまり獣医さんに相談すると「食べることを押し付けてはいけない」との助言。そこで初めて、自分の問題に気付きました。その後、大学を卒業し、無事に、結婚生活を送っています。
対人恐怖症や拒食症などの不登校児に犬や猫、ウサギなどのペットと暮らさせてみることで、治療の効果があがります。心理療法に「ペット・セラピー(動物療法)」を組み合わせて用いることによって、自我の成長を助けたり、心の安定を取り戻したりすることができるようです。動物は人の心にリアルタイムに反応し、そこには母親の『・・・だからいけない』といった時間のズレはありません。動物とは、その瞬間、瞬間につきあうことができるのです。
殻に閉じこもる人間は「自分の心を誰もわかってくれない」と言います。批判されることを恐れ、他を寄せ付けまいとします。動物は何も言わないで、自分の話に耳を傾けてくれる。見つめて受け入れてくれる。それだから、自然に動物を求めてゆくのでしょう。動物がその「橋渡し」となり、現実への折り合いをつけてくれます。そこには、共に戦い、成長した時間があります。同じ時を心を許した相棒として支えあって生きてきたのです。ところが、回復して学校に行くようになると、それまで動物にベッタリだったのが、不思議と見向きもしなくなるといいます。
